【心理学】レポートトークとラポートトークとは?男女の会話スタイルも解説

「レポートトークって何?」
「男女の会話が嚙み合わない原因でよくあるの…?」
レポートトークとラポートトークって
聞くけれど、具体的にはどんなことなのか?
どんな時に使うと効果的なのか?
仕事や恋愛関係において
活用できるタイミングなど
解説していきます。

男女の会話スタイルの違いにも触れていきたいと思います!
レポートトークとラポートトークとは


コミュニケーションには、大きく分けて
「レポートトーク(Report Talk)」 と
「ラポートトーク(Rapport Talk)」 という
2つのスタイルがあります。
これはアメリカの言語学者デボラ・タネンの研究によって広まった概念で、
人が会話で「何を重視しているか」を表しています。
ただし、「男性はレポートトーク」「女性はラポートトーク」といった単純な分類ではなく、
一人ひとりが状況によって使い分けている
“会話の目的”の違いだと捉えると理解しやすいです。
レポートトークとは
レポートトークは、
情報・事実・解決策を伝えることを目的
とした会話スタイル です。
- 結論から話す
- 事実やデータを重視する
- 問題があれば改善策を考える
- 会話の中で“成果”を出したい
- 目的達成や効率に意識が向きやすい
つまり、レポートトークは
“会話を情報伝達のツールとして使う” スタイルと言えます。
心理学的に見ると、
これは 認知的アプローチ(Cognitive Style) が強いタイプ。
「何が起きたか」「どうすれば改善できるか」といった
分析・整理・解決 のプロセスに価値を置きます。
ラポートトークとは
ラポートトークは、
つながり・共感・安心感を築くことを目的
とした会話スタイル です。
- 気持ちを共有したい
- 「聞いてほしい」「わかってほしい」が根っこにある
- 答えや正解は求めていない
- 会話そのものが関係構築の手段
- 共感やうなずきが重要
心理学的には、
こちらは 情緒的アプローチ(Affective Style) と呼ばれる領域に該当し、
人の心の動き・気持ち・距離感を大切にする会話です。
また、ラポートとは
「信頼関係」という意味の心理学用語で、
カウンセリングやコーチングの基盤ともなる考え方です。
つまりラポートトークは、
相手との安心感を育てるコミュニケーションそのもの。



どっちが良い悪い
という単純な話ではなく…!
どちらも目的に合わせて活用できると良いですよね


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レポートトークとラポートトークの活用方法


レポートトークとラポートトークは
状況に応じて適切に使い分けることで
より信頼関係が深まるコミュニケーションスタイルです。
ここでは、
仕事・職場と恋愛・パートナーシップという2つの場面に分けて活用方法(具体例)を紹介します。
仕事の場面
<レポートトークが有効な場面>
仕事では、特に 問題解決・判断・報告 が重要なため、レポートトークが強く求められます。
〈活用例〉
- 業務報告
- 会議での発言
- ミスの原因分析
- 業務改善提案
- クライアントへの説明
〈具体例〉
後輩が「ちょっと悩んでいて…最近クレームが多くて…自信なくなってきました」と話してきたとします。
あなた(レポートトーク)
「最近のデータを見たら、主な要因は納期の遅れだね。この部分のフローを改善すればクレームは減ると思うよ」
→“事実”と“改善策”に焦点を当てて、
問題解決モードで応答しています。
これはビジネスシーンに合っていますが、
後輩が本当は「気持ちを受け止めてほしい」場合にはズレが起きることもあります。
そのため、相手がどちらを求めて話しているか見抜くことが信頼関係を築く鍵なんですね…!
<ラポートトークが有効な場面>
職場でも「人間関係のストレス」や「感情」が関わる場面では、ラポートトークが力を発揮します。
〈活用例〉
- 部下のメンタルフォロー
- 同僚との悩み相談
- ミス後のケア
- 雑談やランチタイムでの関係構築
- チームビルディング
〈具体例〉
同僚がため息をつきながら話しかけてきたとします。
「最近仕事きつくて、誰もわかってくれない気がする…」
あなた(ラポートトーク)
「それはしんどいね。誰にも言えない中で耐えてたんだね。話してくれてありがとう」
→解決策ではなく、まず気持ちに寄り添い、信頼関係をつくる返しをしている。
職場では、ラポートトークができる人ほど
「この人に相談したい」「一緒に働きやすい」
という評価を得やすく、
結果的にチーム全体のパフォーマンス向上にもつながります。
恋愛・パートナーシップの場面
<レポートトークが役立つ場面>
恋愛でも、いつも共感が正解ではありません。
特に「具体的にどうするか」を決める場面ではレポートトークが有効です。
〈活用例〉
- 旅行の計画
- 引っ越しやライフプランについての相談
- 喧嘩の原因整理
- お金・時間・予定の調整
〈具体例〉
パートナー「来月忙しすぎて無理かも…」
あなた(レポートトーク)
「じゃあ来月の予定を細かく確認して、負担が少ない日に合わせて調整しようか」
→感情より“解決策”を重視し、
お互いの未来のための整理を行っている。
恋愛ではラポートトークが求められることが多いですが、
レポートトークができることで安心感につながり、
将来を考えられる関係に必要な“信頼”が育つ側面もあります。
<ラポートトークが最も重要な場面>
恋愛において、ラポートトークは特に大きな役割を持ちます。
安心感・愛情・つながりを感じるのは、このスタイルがあってこそです。
〈活用例〉
- 仕事の愚痴を聞くとき
- 相手が落ち込んでいるとき
- 気持ちを伝え合うとき
- 「なんとなく話したい」雑談
- 記念日や大事な会話
〈具体例〉
パートナー「今日すごく疲れた…人間関係でぐったり」
あなた(ラポートトーク)
「そうだったんだね。頑張ったんだね。今日はゆっくりしていいよ。良かったら話聞くよ」
→“寄り添い・共感・安心”をつくる言葉。
この積み重ねが、
恋愛で最も大切な信頼関係の土台 になります。



論理的思考で
物事を冷静に判断・対処するのも大事ですが…
やっぱり人と人の関係性は
寄り添う心を持ってコミュニケーションを取っていきたいですね。




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なぜすれ違う?心理学的背景


レポートトーク(情報・解決)と
ラポートトーク(共感・安心)。
この2つはどちらも必要ですが、
人が無意識に選ぶ会話スタイルが異なることで
すれ違いが自然に起こります。
心理学的には、次の3つが主な原因です。
①「問題志向」か「関係志向」かの違い
コミュニケーションには大きく2つの目的があります。
問題志向(Problem-Oriented)
- 何が起きたか
- 原因は何か
- どう改善するか
に焦点を当てるスタイル。
これはレポートトークに近く、
思考・分析を使う脳の領域が活発になります。
関係志向(Relationship-Oriented)
- つらさを共有したい
- 気持ちをわかってほしい
- つながりや安心がほしい
に焦点を当てるスタイル。
こちらはラポートトークに近く、
情緒・共感に関わる領域が優位になります。
この目的の違いこそ、
すれ違いの最も大きな原因なんですね。
例えば、
相手は「気持ちを聞いてほしい」
こちらは「解決方法を提案しよう」
…これだけで会話は噛み合わなくなります。
② 人はストレス時に“いつもの会話スタイル”が強く出る
心理学では、ストレス状態になると、
人は「普段の思考パターン」を強く発動させることが知られています。
- 解決思考の人 → 早く答えを出そうとする
- 共感思考の人 → 気持ちをわかってほしいと願う
そのため、
「そんなこと言ってないのに…」
「なんでそこで正論言うの?」
「なんで答えじゃなくて気持ちの話をするの?」
というズレが生まれ、
関係に摩擦が起こります。
これは能力ではなく
心理的なクセであり、誰にでも起きる自然な反応です。
③ 幼少期の体験や身につけた役割が影響する
心理学では、幼い頃に
- どんな話し方が褒められたか
- どんな役割を担ってきたか
- どんな人間関係の中で育ったか
によって、コミュニケーションの癖が形成されるとされています。
例えば、
家庭の中で
「意見を求められた」
「早く答えを出すことを期待された」
→ レポートトーク優位に育ちやすい
気持ちを共有する文化があった
「どう感じた?」がよく聞かれた
→ ラポートトーク優位に育ちやすい
つまり、会話スタイルの違いは
人格ではなく“経験”の差。
その差が大きいほど、
すれ違いが発生しやすくなります。



自分のコミュニケーションや志向のクセを
自覚しておくと意図的に使い分けられるようになりそうですね




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男女の会話スタイルの違いについて


デボラ・タネンの研究をはじめ、
多くの社会心理学・言語学の分野では、
「男女には会話スタイルの傾向の違いがみられる」と指摘されています。
ただし重要なのは、
✔ これは“傾向”であって、“性格や能力”の話ではない
✔ 一人ひとりの中に両方のスタイルが存在する
✔ 男女差は生物学より“社会的学習”の影響が大きい
という点です。
ここを押さえた上で、
よく見られる傾向を紹介します。
男性に多い傾向:レポートトーク優位
- 結論を求める
- 問題を解決したい
- 自分の正しさを確かめたい
- 事実・情報で会話を組み立てる
- アドバイスで役に立とうとする
これは生物学的というより、
「男なんだからしっかりしなさい」
「弱音を吐くな、解決して一人前だ」
などの社会的役割の影響が多いとされています。
そのため、
女性が気持ちを共有したいだけのときに
男性が解決策を提示してしまい、
すれ違いが起きやすくなるのです。
女性に多い傾向:ラポートトーク優位
- 気持ちに寄り添いたい
- 話すこと自体が心を軽くする
- 共感されると安心する
- 問題より「どう感じたか」が大事
- 話しながら整理する
こちらも、
「気持ちを聞いてもらえる経験が多かった」
「周りとのつながりを大切にする役割を担いがち」
という社会的背景の影響が大きいと言われています。
そのため、男性側のレポートトークに対して
「冷たい」
「話を聞いてない」
「分かってくれない」
と感じてしまうことが増えるのです。
<すれ違いの本質>
すれ違いの本質は、
会話の目的が違うだけ。
どちらも間違っていない。
レポートトークは「問題を前に進める力」
ラポートトークは「信頼関係を深める力」
この2つが揃って初めて、
職場の人間関係も、恋愛関係も、バランスよく成立します。



男なんだから、
女なんだから、
と言われてきた経験や
社会的に担いやすい役割も
大きくクセに影響しているということですね…!




まとめ:良好な関係を築くコミュニケーションを意識しよう


コミュニケーションの目的はもちろんですが
相手によって好みの会話スタイルは違う!
なので、まずは
自分はどっちの会話スタイルを好むのか?
(自分のクセ)
を知ることが重要ですね。
そして、相手がどんなタイプでも良いように
様々な角度からのコミュニケーションができると有利なのだと
強く感じました。
自分らしく生きるためにも
コミュニケーション術はとっても強い武器になる!
ということで、
これからも心理学の視点で勉強していきたいと思います。



もっと自分らしく、
心穏やかに過ごせる人が増えるよう
コミュニケーション術を発信していきますね!









