【ドラマ】人間標本(実写版)を観た感想・レビュー|こんな人におすすめ!

「人間標本ってどんな話?」
「アマプラで人気だけど、面白い?」
湊かなえさん原作の実写化ということでも話題ですよね!
ミステリーなので
ややグロイ描写も含まれるので
観るにはちょっと覚悟のいる作品かも…?!
ドラマを観た感想・レビューが
参考になったら幸いです!
※ネタバレ含みます。

“標本”という言葉に反応した
虫好きの小4息子と鑑賞したので
レビューしていきます!
原作はイヤミスの女王こと湊かなえさんの『人間標本』


<あらすじ>
盛夏の山中で発見された六人の美少年の遺体-自首したのは有名大学教授で蝶研究の権威・榊史朗だった。幼少期から蝶の標本作りを通し、「美を永遠に留める」執念に取り憑かれた男は、最愛の息子までも標本に変えてしまう。湊かなえが紡ぐ、美と狂気が交錯する衝撃のサスペンス。
Amazonより引用
<イヤミスとは>
ひとつのジャンルのことで、『嫌な感じ』『後味の悪い』ミステリーをさしている。
テーマとして、嫉妬、憎悪、人間のエゴ、復讐、狂気など、人間の負の感情を深く描くことが特徴。登場人物の不幸や人間の醜さに触れ不快感を抱くことになる。



タイトルが衝撃的だったので
つい引き込まれてしまいますよね…!
ミステリーが始まっていくのを嫌でも感じさせられます。
本の紹介:人間標本
人間も一番美しい時に標本にできればいいのにな
蝶が恋しい。蝶のことだけを考えながら生きていきたい。蝶の目に映る世界を欲した私は、ある日天啓を受ける。あの美しい少年たちは蝶なのだ。その輝きは標本になっても色あせることはない。五体目の標本が完成した時には大きな達成感を得たが、再び飢餓感が膨れ上がる。今こそ最高傑作を完成させるべきだ。果たしてそれは誰の標本か。――幼い時からその成長を目に焼き付けてきた息子の姿もまた、蝶として私の目に映ったのだった。
見どころ①承認欲求は大きな原動力になり得る


宮沢りえさん演じる「留美ちゃん」は
4原色の目を持つすごい芸術家。
彼女に認められたい人がたくさんいた。
もちろん子は親に認めて欲しい、一番に選んで欲しいと願う…
その欲求は計り知れず、人を殺すことさえしてしまう…
留美ちゃんの「たった一人の理解者」は
中島秀明さん演じる史郎。
史郎もまた芸術家の父・一郎に認められたいと思っていたが
芸術の道ではなく蝶の専門家になっていた。
道は違えど、教授というかたちで世間に認められる地位を確立していた。
史郎の息子・至は見たものをそのまま描けることができたが
それは芸術的なセンスではなかった。
どうしたら父や留美先生に認めてもらえるのか考えていたことだろう。
でも、至はとても心の優しい人で、相手の心を読み取ることの出来る人だったのではないか…?
目の前の人の本当の気持ちを分かってあげられる…それが彼の才能だったのかもしれない。
そんな承認欲求の連鎖が輪になっていく。
憧れを抱いたり、大切に想う相手というのは
特別なきっかけがあったり
大事にしたい価値観そのものだったり
人それぞれだ…と思わされる。



どこでどんな風に人の想いが交差するかというのは
想像以上に複雑なのだと感じさせられました。
そして、その真意は本人にしか分からない。
見どころ②”才能”は大きな渦となる


自分の才能=ギフトが何なのか?
それをどう活かして生きていくのか?
どんな人も、こんな迷いや葛藤を抱えているんだと思う。
他者を羨んだり、自分には何もないと感じること…
手伝うことでしか自分の才能は活かされないと思う瞬間もあるのかもしれない。
だからこそ「才能を活かしたい」という一心で悪事に加担してしまうのかもしれない。
才能だと思っていたものをいつの間にか失ったら、人はおかしくなってしまうのかもしれない…
その才能=ギフトはいつまでも手にできるわけではないのかもしれないとも思わされる。
また、芸術という才能はときに狂気だとも思う。
芸術的な作品というのは万人に受け入れられるものではなかったり
多くの人には理解しがたいものだったりするのだろう。
それでも
自分の作品を創ることが使命だ…!
と感じやり遂げてしまう恐ろしさというのも存在するのかもしれない。
いまの時代、
とにかく才能だとか強みだとかを見つけて
自分を活かして生きていくことが求められる。
SNSとかネット社会によって
他人の才能が嫌でも目に入る…
そこに窮屈さや苦しさを感じる人は少なくないはず。
その”才能”という台風の目が大きければ大きいほど
大きく渦巻き、巻き込まれる人も多くなるのかなと思った。



私も、自分らしく生きたいし
たくさんの人が自分らしく生きることを願うけれど…
“才能を見つけなければならない”という感じになってしまうのはちょっと怖いなとも思います。
見どころ③蝶に例えた比喩表現


蝶に詳しくなくとも面白い比喩表現だなと!
いつも思うけれど、生き物の生態は知れば知るほど面白い。
世界には2万種もの蝶が生息しているとか…!
人間を蝶に例えたのは、種類の多さも関係しているのかな。
以下、比喩表現として出てきた蝶たちです。
レテノールモルフォ: サファイアのような青い輝きを持つ中南米の蝶。鱗粉の構造で色を出すため、角度で色が変化し、裏は地味な色で擬態します。
ミイロタテハ: 体内に毒を持つ(幼虫が毒草を食べるため)蝶。
アカネシロチョウ: 翅の表は地味だが、裏が派手な特徴を持つ。
オオゴマダラ: 腹部先端からメスを引きつけるフェロモンを出す。
アサギマダラ: 長距離を渡ることで知られ、『鬼滅の刃』の胡蝶しのぶのモチーフとも言われる。
モンシロチョウ:畑や花壇など、身近な環境で多く見られ、不規則に飛び、天敵から逃れる防衛行動をとります。
ナミアゲハ: 鮮やかな青色や迫力ある大きさが魅力で、標本としても人気。
クロアゲハ:ゆったりと飛ぶ。オスは特定のルートを飛ぶ「蝶道」を形成する習性がある。
ベニモンアゲハ:黒い翅に白紋と外縁の鮮やかな赤紋(紅紋)が特徴の毒蝶で、体(頭・胸・腹)全体も赤く、「毒を持っているぞ」とアピールする警告色を持ちます。
ワタナベアゲハ:台湾特産の大型のアゲハチョウ
ここは、息子の方が蝶に詳しく
ドラマを観ていてよく分かったのではないかと思います。
毒を持つ蝶に擬態する蝶…
蝶のはね、表と裏は違う…
こうした表現で人間に例えられ
ひとりひとりの性格・性質が描かれていました。
そして、
「自分を蝶に例えるなら何?」
という質問も印象的でしたね。
比喩表現を使うことによって
対象をどのように見ているのか?
が、すごく具体的になるので
興味深いやり取りだなと思いました。



このドラマではたくさんの蝶の標本が出てきます。
なので、息子と観ていて「これってむし社が提供してたりするんじゃない~?」なんて話していたら、やっぱり!
クレジットにちゃんと「標本協力」でむし社のおふたりのお名前ありましたよ!


こんな人におすすめ!子を持つ親すべて


子どもは親に認められたいと思っている
親は無意識でも子を評価・判断している…してしまう
そして、何も言わずともそれを子どもは感じ取る
このことを忘れてはいけないのだ、と。
なぜ、史郎は
至が自由研究として「人間標本」を作っている
という文書を見つけたとき、
人間標本の実物を目にしたとき、
至に何も聞かずに
至を標本にしてしまったのか?
ここが私にとっては、すごく違和感がありました。
なぜ、史郎の母(幻覚)のように、
「あなたの味方だよ、一緒に警察に行こう」
と声を掛けられなかったのか…
史郎の父(幻覚)は
「今ならまだ間に合う」
と世間体を気にするような発言をしていたんですよね。
史郎には(無意識でも)
「至には特別な才能のない、平凡な子だ。このまま単なる犯罪者にさせるわけにはいかない…」
という思考が廻ったのではないか…
このあたりは、
父親と母親で傾向の差があるのかなと思ったり。
そんなことも表現されているような気がしました。
親子は近い関係だからこそ
感情がぶつかったとき
大きなエネルギーを発しやすいと思います。
だからこそ、
根本的にある想い・願いを
忘れてはならないのだと考えさせられました。



特別な才能がある親なら尚のこと…!
思っている以上に、
子は親のことを見ているし
色々なことを感じ取っているんですよね。


ドラマ『人間標本』はどうやって観る?


『人間標本』の実写版ドラマは
Amazonプライムビデオで観れますよ♪
アマプラでは
他にも多数タイトル観れるので
他レビューも良かったら!






まとめ:人間標本は自分の在り方を見つめ直せるドラマ


才能とか強みとか聞き飽きた…!
という人には再度考え直せるドラマかもしれません。
そもそも才能って
生まれてすぐにわかることなんてほとんどないのでは?
色々な経験をしていくうちに
紆余曲折、遠回りして始めて見つかるのかもと思ったりします。
ゼロとは言えませんが
分かりやすい才能を持っている人は少数派なのでは…?
それでも誰かに認められたい、
自分の才能を見つけ生きる意味を見出したいと
願ってしまうのが人間なのかもしれないですけどね…!
自分の生き方、親子の関係性、
自分はどう在りたいのか?
そんなことを考えるいい機会になりました。



やっぱり後味は悪いし
謎に包まれているラストなんですけど…
示唆に富んだ内容はさすがです。
小4息子にはちょっと難しかったかもですが
最後まで割と集中して観れて良かったです!











