【映画】先生の白い嘘(R15)を観た感想・レビュー(ネタバレあり)男女の性の不平等を考える
「『先生の白い嘘』ってどんな映画?」
「先生の白い嘘って面白いの?」
なんとなく気になっていた映画でした。
勝手にミステリーか何かだと思っていたのですが
かなり重い問題に切り込んでいる作品でした…!
なかなか胸糞悪い映画ですが
色々と考えさせられるのも事実…
ただ、、重い内容の映画なので
あまり疲れているときとかに
観るのはおすすめできないです…!
ネタバレありで、
感想を書いていこうと思います。

R15指定ですし、
今回は子どもと一緒に鑑賞していません。
仮に子どもが15歳以上だったとしても
一緒に観るのは避ける内容でしたね…!
『先生の白い嘘』あらすじ
高校教師の原美鈴(奈緒)は、教卓の高みから生徒達を見下ろし観察することで、密かに自尊心を満たしながら、女であることの不平等さから目を背けていた。ある日、美鈴は親友の渕野美奈子(三吉彩花)から早藤雅巳(風間俊介)と婚約したと告げられる。早藤こそ、美鈴に女であることの不平等さの意識を植え付けた張本人だった。早藤を忌み嫌いながらも、快楽に溺れ、早藤の呼び出しに応じてしまう美鈴。そんなある日、担当クラスの男子生徒・新妻祐希(猪狩蒼弥)から衝撃的な性の悩みを打ち明けられ、思わず美鈴は本音を漏らしてしまう。新妻は自分に対して本音をさらけ出した美鈴に魅かれていき……。そして、歪んだ愛憎渦巻く人間模様は思いもよらぬ狂気の世界へと向かっていく。その先で美鈴が見る景色とは――
Amazonプライムビデオより



確かに教師って上からだよな…
そして女性の多い職業でもある。
倫理観を大事にしないといけない立場でもある。
高校生って18歳だとしたら法律上は”大人”だしな。
絶妙な設定なのだと感じますね…!
原作はこちら(鳥飼茜:著):先生の白い嘘(1)
「このマンガがすごい!オンナ編」2014に第9位を獲得した、注目作家鳥飼茜の青年誌最新作、登場!原美鈴は24歳の高校教師。生徒を教師の高みから観察する平穏な毎日は、友人・美奈子の婚約者、早藤の登場により揺らぎ始める。二人の間に、いったい何があったのか?――男と女の間に横たわる性の不平等をえぐる問題作、登場!
漫画が原作なんですね!全8巻↑
『先生の白い嘘』キャスト
主要メンバーは4名。
軸になってくる「美鈴」は奈緒さん、
その友達の「美奈子」は三吉 彩花さん。
美奈子の婚約者で、奈緒をレイプする「早藤くん」は風間 俊介さん。
奈緒の担当クラスの男子生徒の「新妻くん」は猪狩蒼弥さん。
その他にも、精神科医として板谷由夏さんが出演されています。
濡れ場も多く重い内容の作品なので、、
オファーを断った女優さんも多かったようですね。
それゆえ出演してくれる方の調整に10年ほどかかったとか…!
また、
この映画は公開前に炎上していたようです。
理由は、インティマシー・コーディネーター(IC)の起用を
監督が断ったことが原因のようです。
インティマシー・コーディネーター(英:Intimacy Coordinator)は、映画・テレビや舞台など視覚芸術の制作に関わる職種のひとつ。俳優らの身体的接触やヌードなどが登場するシーンにおいて、演者の尊厳や心身の安全を守りながら、演者側と演出側の意向を調整してシーンの真実性や正確性を担保する職種と一般に定義されている。
Wikipediaより引用
キャストも当然ひとりの人間なので…
こういう作品を制作する場合には配慮が必要ですよね…!



撮影って本当に大変なんだろうな…
個人でYouTubeの動画撮るのだって
そこそこ大変なんだから
こういう内容の映画ともなれば、ね。
演者側と演出側の間に入って
双方の想いを考慮してどこまで出来るか
調整する必要があるよね…!
本の紹介:覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰
困難にぶつかった時、
自信を失いそうな時、
プレッシャーに押し潰されそうな時、
きっとこの本が現状を打破する勇気をくれるはずだ。
『先生の白い嘘』主題歌「独白」
映画のエンディングテーマは
yamaさんの『独白』。
映画が終わったなと思ったときに
なんとも綺麗な歌声が流れてきて…
文字通り、ハッとしましたよ…!
中性的な、柔らかいんだけど芯のある、
切なくて優しい雰囲気があって
やっぱyamaさん好きだわ~ってなった。
そうか、yamaさんの曲がテーマになってるから
この「先生の白い噓」ずっと気になってたんだ
って気づきました。



映画やドラマを観るときに
キャストも大事なんだけど
テーマ曲も大事って思っている派です。
好きな人が絡んでいる作品は観たくなるよね。




①人間には「損をする側」が存在する


映画の冒頭で
割り箸を割るシーンがあります。
完全に均等には割れない、と。
誰かが得をして、誰かが損をするものだ、と。
個人的には、
けっこう強いメッセージでした。
というのも、
私は女であり生物として強者ではないので
割り箸を割っていた美鈴にすごく共感してしまったんですよね。
何が得で、何が損なのか…
これはひとつの視点では語れなくて
人によって感じ方が違う問題だと思います。
しかし、まだまだ令和のこの時代でも
男尊女卑社会は健在だと思っていて。
「女尊男卑だ!」
という意見があるのも知っているうえで、そう思います。
つまりは、
健常で体力のある強い男以外は
男さえも息苦しい世の中なのだと思っています。
この映画は基本的には
女性の苦しさにフォーカスした作品だと感じました。
でも、風間さん演じる早藤くんも闇を抱えている。
男子生徒の新妻くんも彼なりの苦しさを抱えている。
というところは、描かれつつも
あまりフォーカスせずに進んでいくんですね。
でもさ、
美鈴が言っていた通り
やっぱり男の方が生物として強くて(力があって)
その気になれば女をどうにかできるのは事実だと思うんだよな~
美鈴は最後の方で、
早藤くんからボコボコにされて
血まみれ半殺し状態になるわけですが…
まぁ勝ち目ないよね。
観てて思ったよ、
「そんなこと言っても彼が改心して謝る展開とかないよね…!?」って。
(映画としてそういう丸く収まる展開じゃなくて良かった。)
普通の女性が力で勝てることは、ほとんどあり得ないのだから。
私も体験的に知っているんですよ。
具体的には書かないけれど、
到底、男に力で勝つことはできないって感じた出来事を経験したので。
それって怖いことですよ。
目の前の男性が
本気でどうにかしようと力を出してきたら
こっちにはどうにもならないわけだから…
それって「女は損する存在」と言えると思います。
会社とかでもそうですよね。
どこかで怖いなという想いを抱えながら
男性に混じって仕事している女性はいると思います。
それが無意識であっても…。



性被害にあった女性なんて、
本当に人生どうなっちゃうのってくらい
心に傷を負うのも無理はない…



美鈴も心のケアをする(精神科の)シーンがありますけれども…
真っ暗闇を歩いているような感覚で何年も苦しむよなと。
こういう被害に遇うのは大抵が女性で。
それだけでも胸糞悪いですね。
本の紹介:人に言えない男女の悩みをすべて解決する おとな性教育
日本で性を語ることはタブー視されがちですが、海外に目を向けてみると、実は当たり前に性教育が行われています。
効率的な節税や投資のために「お金」を学ぶことが必要なように、男女が円滑にコミュニケーションを取り、楽しく付き合うために「性教育」を学ぶことは大切です。
②男女は性においても不平等である


現代も依然として男尊女卑社会だ、
って書いたんですが。
そもそも性に関して
男女は不平等なんですよね。
これは生物として、基本的には変わらないのではないでしょうか?
クマノミみたいに
成長する過程でオスからメスへと性転換する魚(雄性先熟)のようにならない限りは…。
SEXしてリスクを負うのはいつも女です。
「男だって性病ガー」
という話もあるかもしれませんが、
それは女も同じだし。
力の差もあって無防備な女は不利、
女性器はとてもデリケートです、だって内臓だもん。
そして妊娠するのも女です。
だからレイプって本当に怖いこと。
美鈴が、同時に快楽も感じている自分が憎い、
自分の敵は自分みたいな話がありますけれども。
「レイプが本当に嫌なら感じないはずだろ?
感じてるってことは嫌じゃないってこと」
みたいな話って加害男性から
ちょくちょく出てくるみたいなのですが…
女性の身体って、レイプみたいな
命の危険を察知すると?
ちゃんと濡れるって聞きますよね。
気持ち良いとか感じてるとか心とは別で身体が反応している。
(濡れないと達せなくて男が何するか分からないからね)
だから、この美鈴の話はちょっと(?)でした。
恐怖を感じている相手との行為で快楽を感じるってあるのかな…
その辺りは、
男性の方が愛情を持っていない相手に対しても行為可能なイメージありますよね。
もちろん、個人差もあるだろうし
男とか女とか一括りにはできない前提ですが…!
SEXに対する向き合い方は
男女で結構違うのかなと思います。
(リスクの観点も無視できないし)
なので、
性に関しては男女間でかなり不平等だと思いますね。
SEXって本来、命を授かるための行為なのに…
信頼関係を築くこともできる反面で
こんなにも心を傷つける行為になり得ることなのだと
すごく考えさせられます…。
美奈子が妊娠したことを知り、
早藤くんが「ちくしょう!」って言うシーンも
印象的でした。
早藤くんの「怯えてる女じゃないとしたくない」
みたいな歪んだ欲求もすごい、男性的でしたね。
加害欲?なのかな…
単なる性欲とか支配欲とはまた別モノな感じ。
心の闇を感じさせるキャラですね。
それを演じた風間さんがすごい…
めちゃくちゃ怖いし嫌なヤツだったもんね。
ちょっと前に観たドラマでは児童相談所の職員の役をされていて
かなりギャップがあったので余計にすごいな~って…!
っと、この映画では
男女間の性の不平等が明確に描かれていたと感じますね。
新妻くんの「女性器が怖いんです」って話だって
相手の年上既婚女性が特別暴力的な設定ではなかったので
まぁそれで勃起不全になったとしても一時的なのでは?
と思ってしまった。
そもそも彼に身体的なリスクはほぼゼロだし。
“怖い”というレベルが全然違うと思うので
これこそが不平等なんですよね…。



う~~ん、
自分が女性ゆえに偏った意見になっちゃうな
というのも否めないのですが。
とは言え、あまりに無難過ぎる感想を書いても意味がないので、続けます。
本の紹介:なぜ男女格差はなくならないのか
「今とは異なる境遇に、自分が生まれていたなら……。」
「あり得たかもしれない自分への想像力」に始まり、「今を生きる他者への想像力」に終わる、
性別をめぐる社会の理不尽に問いかける一冊。
③性に関連する事象は「家庭環境」や「親子関係」の背景を無視できない


恋愛とか結婚観、そして性に関する事象って
どうしても「家庭環境」ないしは「親子関係」という
それまで生きてきた背景を無視できないと思うんですよね。
なんでも背景は大きく影響していると思いますが、
男女の関係って特に影響が大きいと感じます…!
この映画のキャラクターについては
誰も過去の回想シーンなどがなく、
詳しい背景が描かれていません。
なので、そういう納得感はなかったのですが…
みんなそれぞれ何かを抱えていたんだろうと想像します。
個人的に感じたことを、4人それぞれ書いてみます。
美鈴
美鈴が早藤くんにレイプされて
そのまま関係をズルズル引きずってしまったのはなぜなのか…?
地味でどこか怯えている彼女が
教師という職業に就き
生徒たちを見下ろすようにして自尊心を満たしていたのは
何がそうさせたのか…?
彼女はあまり自己肯定感が高いタイプではなさそうでしたよね。
亡き祖母の家にひとりで住んでいたし、
ご両親の存在が消されていたので
寂しそうな印象が強かった。
そして自分の弱さを自覚していた。
だから、レイプというかたちでも
誰かに求められることが
自分の存在意義確認だったのかな…?
などと感じました。
教師という立場も似ているというか。
だからこそ、真っすぐに想いを伝えてくれた
新妻くんに惹かれていったのかもと思うと
合点です…!
美奈子
美奈子は早藤くんがダメでクズな男だと気づいていたのに
抱かれたい、妊娠・結婚することを選んだのはなぜなのか…?
美鈴と早藤くんの事件?についても
「お願いだから許して…」と
事を収めて別れることはしなかった。
そして、逮捕後の早藤くんに定期的に会いに行く…
不思議なふたりの関係はどうしてそうなった?
美奈子は実家が太い、美人なキャラ。
一見何でも手に入れられそうな立場です。
それなのに早藤くんに執着していたのは
コントロールしたかったからなのかな?
自分に依存させたかったというか…
彼の弱さを知っていたからこそ
「彼には私だけだから…」と
手放したくなかったのだろうか。
お金があれば幸福度が高いわけでもない、
という象徴のようにも感じました。
それなりの規模の企業の社長の孫?ともなると
色々と制限が多かったり自分で決められることが少なかったのかな?
だから自分でコントロールできる存在(早藤くん)を手元に置いておきたかった、とかね。
美鈴に対しても、
「私のこと本当はバカにしてたでしょ?」
みたいなこと言ってましたけど。
何でも持っているようで
本質的に満たされていない自分を彼女は知っていたし、
友達にバレていることも知っていたんですね。
でも、そんな格好悪い自分を出したくはなかった…
そんなプライドも感じました。
早藤くん
早藤くんは最初から目つきがヤバくて
とにかく胸糞悪いキャラでしたね。
美鈴に対しての乱暴さも、
美奈子に対しての雑な態度も。
同僚に「適当に合コン組んで」というシーンでも
明らかに女性蔑視な価値観が溢れていました。
ここまで女性を見下しているのに
性(女)に執着するっていうのは
矛盾していると思います。
早藤くんは愛着障害なのかなって感じていました。
幼少期に愛着関係が十分に形成されなかった、
つまり親子関係、特に母親との関係性が良くなかったのではないかと。
例えば、、
母が不倫して(よその男を優先して)子供を置いて出ていってしまったとか。
”母”という存在について強い険悪感情を持っているような気がしたんですよね。
美奈子が妊娠して母になる、というタイミングで
自殺しようとしたり、自首したり。
美鈴がラブホテルで諭してきたときのキレ方も異常だったので
女性(母)に何か諭されて不愉快だった経験があったのかなとか。
力の強さだけでなく、
弱い心も同時に抱えている…みたいな。
感情の起伏も、行動も
振れ幅が大きくてちょっと理解できない…
でも、人ってこんな風になっちゃうのかもしれないとも思ったのでした…
新妻くん
新妻くんは高校生で
バイト先の既婚女性とホテルに行ったと。
この映画の始まりの問いみたいなものなわけですが。
彼は純粋で、植木屋を継ぎたいと考えており
早藤くんとは対照的で悪意のない人物。
なんで既婚者とホテルなんかに?
と思いましたが、純粋がゆえに
女性に連れ込まれたのかなと思いました。
無理矢理ということではなく、
彼の性への好奇心をうまく利用して、みたいな。
それで実際に行為をするとなって
怖くなったのかな、と。
やはりまだ高校生なので、
周りの大人がちゃんとしないといけないですね…!
でも、彼はホテルに行った事実を先生に伝えたし
その後も関係を続けているわけではなさそうだったので
家庭環境は悪くないのだろうなという風に感じました。
映画の最後で、
高校卒業後に美鈴と再会したシーンでも
彼の一途さが描かれていたので
すべての男性が怖い存在なわけではない、
と美鈴に教えてくれているような感じがしました。



改めて家庭環境や親子関係って
人生への影響がめちゃくちゃデカイ…
と考えさせられますね。
完璧な人間はいないので
完璧な親になろうとは思わないですが
責任は感じますね…!



そして、
男は力は圧倒的に強いが
案外心は弱かったり、
結局母なる女性には敵わないみたいなところを感じました。
どっちが偉いとかすごいとか言う話ではないだけどね。
なぜかそういう論争みたいになりがちなんですよね。
難しい…
本の紹介:平等とは何か-運、格差、能力主義を問いなおす
人生が親ガチャ・運しだいでよいのか。
能力主義は正しいか。
そもそも不平等の何がわるいのか。
『先生の白い噓』が見られるのは?
Amazonプライムビデオで観れます!
U-NEXTやHuluなど
その他配信サービスでも視聴可能です。



DVDやBlu-rayの販売もあるので
購入して観る手もありますね!






まとめ:人は多面的で奥深い


男女は不平等だと思います。
でも、それは生物として仕方ないことな気もします。
個人差がある前提ですが、
男にも女にもそれぞれの強みと弱みがあるというか…
それぞれの視点で生きており、
違う背景を持っているので
人間は多面的な生き物だし
お互いを理解するのが極めて困難なのだと感じました。
まぁだからこその第一歩は自己理解
だと思うんですけれども。
まずは自分が
目の前の事象をどう受け止めているのか?
それは何がそうさせているのか?など
自分の中でまずは対話をして、落としどころを見つける。
そうすることで
相手のことも見えてくるはず…!
そしたらきっと、
悲しい争いとか事件は減るのではなかろうか…
などと思いました。



人生は日々の行動、出来事の積み重ねで
一部分だけに着目しても
分からないことが多いのかもな、と。
常にできるわけではないかもしれないですが
目の前の人を断片的な情報で判断するのは避けたいなと思いますね。













